僕等が保つべき体温の最大
「神木さん!」

「波多野君!」

圭一が駆け寄ると、菜緒もそれに気付き圭一の元に駆け寄る。

「大丈夫だったか?怪我は?」

「なんとか…。うん、大丈夫」

菜緒は服が少し汚れているだけで、目だった傷も無いように見えた。

落ちた後、咄嗟にホームの下にある退避スペースに転がり込んだのだと言う。

「スゴイな…。ホントに猫みたいだ…」

そう言って嘘ぶく圭一の、菜緒は手を取った。

「ありがとう。助けてくれようとしたんだよね」

「ああ、でも…」

菜緒は、圭一の右手の無い手首をその両手で包み込んだ。

そのぬぐもりは、圭一の身体全体を温めるようだ。

「ありがとう」

「でも、俺は何も出来なかった…」

そんな言葉を菜緒は一瞬寂しそうに受け取ったが、その目を伏せ今度はおでこを右手にあてながら呟いた。

「だったら、その分私が頑張るから…」

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