僕等が保つべき体温の最大
「波多野さんの彼女さんて、どんな人です?」

「どんなって…」

紗梨奈は聞きにくいような事でも、簡単に聞いてくる。

いともたやすく踏み込まれて、圭一は答えに詰まってしまった。

「どんなって…。フツーだと思うよ」

結衣の顔が頭に浮かぶ。圭一は胸が締め付けられる思いがした。

「何かあったんですか?」

「何かって?」不意に聞かれて、また詰まる。

「今日。何かあったから会ってくれたんじゃないんですか?」

紗梨奈の質問は、いちいち脈絡がなかったが、段階をふんで確実に核心に触れていった。

「だとしたら?」

「え?」

「何かあったとしたら?」

何も答える事が出来ず、苦し紛れに返した質問に、紗梨奈は「うーん」と言いながら視線をそらした。

「だとしたら…」言いながら、紗梨奈は圭一に向き直るとニコリと微笑んで答えた。

「だとしたら、私がなぐさめてあげます」

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