秘恋




「良いと思う。
すぐ立ち直ったり、
開き直るよりもいいじゃん」


「なんで?」


「後悔して、未練がある女の方が
好きだから」


「…ただの変人じゃん」


「違うって。
1人の相手をそんなにも一途に
愛せるってすごいことだから」


「…そうかな?」


「そうだよ」




准一の言葉は真っ直ぐだ。




「あたしさ、やっぱり智也の事、
大好きだった」


「…そっか」


「…うん」



私はうつむいたままの泣き顔を
ゆっくりと上げた。



前を向く。


辛いときこそ前を向く。



今日はアイツがいてくれて
本当に良かったのかもしれない。




准一の後ろから真っ赤な夕日が
顔を覗かせていた。



眩しかった。


夕日も、彼自身も。



< 42 / 55 >

この作品をシェア

pagetop