ひとりがさみしいなら
ふたつの“好き”
「こんにちは、萌香ちゃん」
「れ、麗ちゃん!!
今日も来てくださったんですか!?」
「今日はオフなの。
萌香ちゃんの演技、たっぷり見せてもらったわ」
今日も麗ちゃんが来てくれて、密かに喜んだ。

相談・・・してみようか。
麗ちゃんに・・・裕貴くんと司の事・・・。

「あのッッ・・・麗ちゃん!
相談あるんですけど・・・」
「あら、なぁに?」

「あたし・・・どっちの事好きなんでしょうか・・・!!」

「え??」
あたしは、裕貴くんと司の事をすべて麗ちゃんに話した。

「・・・どっちが好きとか、まだないかもしれないわね」
え・・・。
じゃあ・・・

「だけど、その裕貴くんと司くんは、2人とも萌香ちゃんが好きだと思うわ」

え。
つ、司まで!!?
「そんな事・・・」


「・・・ねぇ萌香ちゃん。
私たち小さい頃・・・1回会ったわよね?」
「・・・はい」



「思い出してみて。
私あなたに、“ねぇ、ひとりがさみしいなら、一緒に演劇やらない?”って言ったわよね?」



「・・・うん・・・」
“ひとりがさみしいなら”・・・。
そう、あたしはひとりがさみしかった。
だから、麗ちゃんに演劇を教えてもらって・・・
今、女優になってる。






「あなたがひとりでいるとき・・・
さみしいって思うとき、“そばにいてほしい”って思う人が・・・
・・・たぶん、萌香ちゃんの本当の好きな人だと思うわ」





・・・ひとりでいるとき・・・

さみしいって思うとき・・・

そばにいてほしい・・・?
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