裏切り恋愛
「う、わぁ……」

川原は、真緑の雑草と、小さくて白い花に囲まれて、細く、長く続いている。
夏に近いせいか、川原には小さな虫もいた。

「ひゃっ!虫!!」

実由が一匹の虫に体をビクつかせると、慎吾は笑ってその虫を遠くに飛ばした。

「虫、怖いの?」

慎吾が笑いを堪えるように聞く。

「だ、だって……」

二人は他愛ない会話で盛り上がった。

落ち着く空間。
二人だけの場所みたいで、実由には心地よかった。
圭斗に付きまとう女子のことも、圭斗自身のことも、少しだけ忘れることが出来た。

慎吾は……なんだか、すごく、優しい。
優しいけど、だけど……圭斗が好き。

少しだけ揺らぐ心に歯止めをかけて、実由は慎吾に微笑んだ。
慎吾も、微笑み返してくれる。
その関係性といい、この空間といい、全てが実由に癒しを与えてくれる。

「気持ちいいねー」

実由がそう言うと、

「だな。実由チャンに教えられてよかったかも」

と、慎吾が笑った。
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