裏切り恋愛
なんか、久しぶりすぎる気がするよ。
避けられてたし。
圭斗のメールの内容も気になって、慎吾に近づけなかったな。

実由はそんなことを考えながら、大きく深呼吸した。

「なぁ、実由チャン」

慎吾が、ボソッと実由に呟いた。

「ん?何?」

実由は慎吾の方を向いて返事をする。
慎吾は一度ため息をついてから、実由の方を向いた。

「俺の気持ち、分かる?」
「へ?」

実由がどういうこと?、と聞く暇さえないほど勢いよく、慎吾は実由を抱きしめた。

「ちょ、慎吾……!?」
「……」

慎吾は何も言わず、ただ実由を抱きしめる。
そして、ゆっくりと実由の体を離し、薄気味悪い笑顔をして実由に言った。

「お前がムカついてたまらない」
「っ……」

実由は慎吾のその笑顔に寒気を覚え、その場から逃げようとした。

「おっと、逃げるとか、無理だから」

慎吾はそんな実由の腕をがっちりと掴み、パチン、と指を鳴らした。

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