ロンド


毎日藍の病室まで行っている。

毎日同じ顔を眺めて、早く目を覚ましてと祈ってる。


お母さんは毎日行く必要はないと言う。

それでも、藍が目を覚まさなくても、あたしは病室へ通う。


いつからだろう?

病室で由季渡と会うようになったのは。


「……今日は来たんだ」

「暇だからな」


憶測でしかないけれど、もしかしたら由季渡は藍のことが好きだったのかもしれない。

こんなにも心配してくれている。

クラスのみんななんか、『呪い』が怖くて近寄りすらしないのに。


「ありがとう」

「別に」


恐れずに、藍のために心配してくれて、ありがとう……。
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