群青ノ春
圭介は家事や育児にすごく協力的だった。



陽奈が三歳になる頃に保育園に預けて、奈緒が働きに出る事に対して、誰よりも応援してくれたし、支えとなってくれた。





奈緒はそんな優しくて寛大な圭介が大好きだった。



同じ28年という歳月を生きてきたとは思えない程、
穏やかで落ち着いていて、まあるい人だった。




奈緒はいつも例えるなら、春頃に降る、優しい雨のような人だと思っていた。




音も無く静かに降り続けるはかな気な印象は、雨の強さや美しさを感じる。


ふとした時に見せる、曇り空のような陰りさえも魅力の一つだと思っていた。




四年前に陽奈がお腹にいる事が分かった時も、少し驚いた顔はしたが、照れ臭そうに微笑んで「なんかすごいね、不思議だね。」とお腹を撫でてくれた。



奈緒は幸せだった。
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