lotlotlot3-血脈の果て-
「?」
一瞬、何が見えているかわからなかった。頭に血が上っている。逆さまになっているのだけは、すぐに理解できた。
「木?空?」
目の前にあったのは、さっき僕が消したはずの木だ。足下には空が広がっている。僕は木の先端にぶら下げられているのだと、やっとわかった。
「何があった?」
言術は絶対だ。一度、その効果を表せば、効果は永遠に続く。家を造れば、その家は普通と変わらずに存在し続ける。言術でその存在を、効果を消さない限り無理だ。それなのにだ。僕が消したはずの木々が復活した。信じられるわけがない。
頭に血が上りながらも、左右を見回し様子を伺った。辺りに人影はない。つまり、この木々達は自然に言術を解除したのだ。
「こんな事って・・・。」
認めたくなかった。でも、現実に起きている。じいちゃんはいつも言ってた。こう言う時こそ、冷静に対処するものだと。
「lot。」
この体勢のまま、長くいるのは勘弁だ。とりあえず体勢を直そうと、言術を唱えてみた。
僕の体はふわりと浮かび、それから体が反転した。
「よしっ、いい感じだ。」
木の大きさは三十メートルはある。かなりの大きさだ。こんな所から落ちたら、ひとたまりもない。慎重に、慎重に、言術を使った。こんなに細かく使ったのははじめてだった。
なのにだ。急に力が消えた。
「えっ・・・。」
今度はさっきと逆方向に、景色が流れていく。
「うわあああ・・・。」
叫び声をあげたのは、一瞬だった。それから僕は何も言えなくなった。
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