lotlotlot3-血脈の果て-
幼き創始者
蝶が舞っていた。二匹の蝶は戯れながら飛んでいる。
それを部屋の窓から、ヨダセンは見ていた。
<あの蝶・・・つかまえたいな。>
子供なら一度は誰でも思う事だ。ヨダセンが思っても別におかしくはない。ただ、その想いは異常だった。怪我のせいで動けなくなったからなのか、強い、とても強い想いで蝶を見ていた。
完全に無意識だった。と言うか、子供の発する奇声みたいなものだった。口から知らない単語が飛び出した。
「char。」
手が伸びる。蝶のところまで、ぐんぐんと伸びていく。掌は虫取り網のようになった。こうなってしまえば、あとは簡単だった。やわらかい音が蝶を包む。ヨダセンの手の中には二匹の蝶がいた。
「何?」
目をパチクリしながら掌を眺めるが、どこもおかしな所はない。指を伸ばしたり、曲げたりと何度か動かして見たが同じだ。とても虫取り網になった掌ではない。
「何が起きたんだ?」
わからなかった。言える事は手の中に蝶がいると言う事実だけだ。
「今のは魔法じゃないよな?」
父親や従者の魔法を、何度も目の当たりにしているヨダセンは、直感的にその違いを感じていた。
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