lotlotlot3-血脈の果て-
犬が眠れば、じじいが来る
目が回る。気分が悪い。頭が痛い。喉も痛い。等々の諸症状が僕を苦しめた。そう僕は“鮫、宙を舞う”に乗せられていた。カルサの森までかなりの距離がある。もう限界はとうに越えていた。
「見えてきたよ。」
「・・・。」
アイワイさんの言葉に、返事なんて出来なかった。口を開けたら、そのままアイワイさんの背中に吐いちゃいそうだ。
「イバーエ君?」
「うっ。」
それを聞くや否や反応した。
「bic。」
嘔吐物は、アイワイさんの出した壷の中に収まった。
「ご、ごめん。」
哀しいやら恥ずかしいやらで穴があったら入りたい。
「そんなにこの子、乗り心地悪いかな?」
ケロリとした顔でそう言う。僕にはそれが信じられない。
「乗り心地が悪いどころか・・・。」
それ以上言うのを止めた。アイワイさんは、こいつをかなり気に入っているみたいだ。それに対してそこまで悪くは言えない。
「・・・?ま、そのうち慣れるよ。」
そうかな?と思ったけど、やっぱり黙っておいた。
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