lotlotlot3-血脈の果て-
城を見た。周りに堀などない。代わりに花畑が広がっている。色とりどりの花が咲き誇っている。どこまでも色にこだわりたいらしい。
「あのさ・・・。」
念のため、アイワイさんに聞いてみる。
「本がここで終わったって事は、やっぱりリーグはここにいるんだよね?」
「たぶんね。本を読む前にどんな本にしたいか、表紙に書いたでしょ。メルツとリーグ君に会いたいって。そして、メルツはここにいた。そう考えるとリーグ君がここにいると考えるのが自然ね。」
「だよね?」
次は確認しなければいけない事がある。
「もう一ついいかな?」
「何?」
「エーマリリスさんは言術が使えないような事言ってたけど、前にここに来た時、僕は言術使えたんだ。」
「えっ?本当に?」
「うん、ただすぐに消えちゃったんだ。」
「消えちゃう?」
アイワイはよくわからなかった。
「うん、だから城の中に入る前に、本当はどうなのか確認しておいた方がいいと思うんだよ。言術が使えるのと使えないので、これからだいぶ違うでしょ?」
「そうね。じゃ、試してみようか?私からやってみるね。」
間をおいた。
「bic。」
何も起きない。
「アイワイさん?」
「ダメ。鳥を呼ぶ感じを想ったけど、全然ダメ。想いが完全に打ち消されちゃう。」
「そうか・・・。じゃ、今度は僕の番だね。」
同じように間をおいた。想いを練る。
「lot。」
鳥が一羽、イバーエの手に止まった。
「僕も同じように鳥を呼ぶ感じを想ってみたよ。」
「すごい・・・。」
と言ったのも束の間、鳥は徐々に透明になり消えた。
「やっぱり、この間と同じだ。」
肩を落とした。ただ、これではっきりした。言術の使えないのにも、どうやら程度があるようだ。アイワイさんはまるで使えないけど、僕は一瞬だけ使える。
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