lotlotlot3-血脈の果て-
「痛い、痛い、おいっ、やめろ。この記憶を流し込むのをやめろ。」
いくら言っても記憶は止めどなく流れ込む。やがてリーグの体に入りきらなくなり溢れ始めた。記憶の中に溺れ、リーグは意識を失った。

ぬらぬらぬら。ぬらぬらぬら。
「うわっ、なんだ?」
イバーエは思わず耳を塞いだ。アイワイも同様に耳を塞ぐ。しかし、それくらいではこの音は防げそうにない。側にいたメルツは尻尾を下ろし、フラフラしている。
「見つかったのかも知れない・・・。」
アイワイはそう言うが、音に消されてイバーエには通じていない。
「と、とにかく音が聞こえなくなる所に逃げよう。」
イバーエは走り出した。少し遅れ、アイワイも後を追う。
「待って。」
メルツも一緒だ。
色鮮やかな廊下を奥へと走る。しばらくしてやっと音が止んだ。しかし、まだ耳の中では音が聞こえている気がする。余韻と言うのだろうか。
「ア、アイワイさん大丈夫?」
「うん、大丈夫。でも、メルツはダメそう・・・。」
イバーエの足下でヘタっている。人間より耳がいい犬が、あんな音を聞いたら当然だろう。
「メルツ、平気か?」
抱き寄せ、頭をなでた。いつもならこれで元気になるメルツも、今回ばかりは無理そうだった。
「メルツ・・・。」
僕はメルツを抱きながら移動する事にした。
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