lotlotlot3-血脈の果て-
「じいちゃん、ごめん。」
抱えていたメルツを床に下ろす。そして・・・。
「lot・・・lot・・・lot。」
禁じられた言術、第三言。イバーエはそれを唱えてしまった。

世界は恐怖するだろう。
今、この世に完全なる悪魔が誕生した。いや、天使なのだろうか。

わわの姿はなくなっていた。ただ、それと思われる肉塊が転がっていただけだ。
暗黒が翼のような形を成す。それがイバーエの背中から生えている。そして、肩、腕、足まで暗黒は続いていた。霧のようなそれは、小刻みに震え動いているように見える。なんなのだろう?アイワイにはわからなかった。ただ一つ言える事。それはこの世のものとは思えないと言う事だ。
「イバーエ君・・・?」
アイワイが名を呼んだ。それに応える。ゆっくりとイバーエは振り返った。間違いなくイバーエだ。その表情はとても穏やかだ。やわらかい表情は天使の笑顔に見えた。もっとも、口から血が垂れていなければの話だが。
「ふふふ・・・。」
小さく笑う。
「イバーエ君、大丈夫か?」
様子がおかしい。エーマリリスが声をかけた。
「ふふふ・・・。」
翼を広げた。そして、舞った。
「イバーエ君!待って!」
アイワイの言葉など聞いていない。高く、高く舞った。
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