lotlotlot3-血脈の果て-
「う、うぅ。」
この声はリーグだ。ふたりが話している間に、少しずつではあるが回復し始めていたのだ。
「リーグ君!」
とびきりの笑顔だ。
「アイワイ、喜んでいる場合じゃないぞ。まだ、安心するのは早い。さぁ、もっともっと言術を、彼に生きる力を与えるんだ。」
「はい!」

数日後。
リーグはほとんど治ったように見えた。あとは目を覚ますのを待つだけだ。
「目を覚まして・・・。」
リーグの手を握り、アイワイは祈った。それを神は見ていたのだろうか?リーグから話しかけられた。
「あの・・・。」
「リーグ君?」
顔をのぞき込んだ。
「誰ですか?」
「何言ってるの?アイワイよ。忘れたの?」
「アイワイ?」
その名前に覚えはないようだ。不思議そうな顔を浮かべている。
体の中を靄が走る。なんとも言い難い気持ちがアイワイを埋める。父の元へと走った。

「医者でないからはっきりとは言えないが・・・。」
前置きをした。
「どうやら記憶喪失らしい・・・。」
「そんな・・・。」
「詳しい事はわからない。ただ、魔法使いとの間で、色々とやってたらしいからね。その中に悪影響を及ぼすものがあっても不思議ではない。」
娘の肩をエーマリリスは抱いた。
「そんな顔をするな。死んだわけじゃないんだ。幸い時間はたっぷりある。なぁに、すぐに記憶を元に戻す術も見つかるさ。」
「はい。」
「よし、いい返事だ。じゃ、私はさっそく研究を始めるから、リーグ君の事頼んだよ。」
「はい!」
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