ちぇんじ☆
 電車に揺られること十五分
 一応さ、来てみましたよ……ラブホ街に。

 学校をやってる時間だから知り合いには会わないだろうけど、
 それ以上に厄介な補導員に見つからないかドキドキしながら。

「ホラ!入るわよ!」

 真里が私の腕を引っ張る。
 うーん、我ながら処女とは思えない積極さだ。
 こんなことを伝えると真里に殴られそうだけど。

 ラブホのロビーへ。
 パネルが何枚もあって、この中から部屋を選ぶみたいだ。

「へー、こんな風になってるんだね。どうするのかな?」
「ば、馬鹿!私だって初めてなんだから知るわけないでしょ!」

――あ、そうでした。

 とりあえずパネルの下にボタンがあるのでここを押せばいいのかな?

「どの部屋にしようか?」
「鏡がいるんでしょ?目的忘れてるんじゃない?」
「あ、そうだった。……鏡……鏡……と」

 パネルの写真で鏡が写ってる部屋を選ぶ。

 ご休憩/¥4500 の文字
 うう……高いんだなぁ。

「これだけでBL小説が6冊は買えちゃうよねぇ……」

 思わず口に出てしまう。
 横では真里が思いっきり同意している。

「ぷ……ハハハ!」

 真里と私、ほぼ同時に笑い出してしまった。

「うーん、やっぱり私なんだね。その外見だと信じられないけど」

 私をしみじみと眺めながら真里が言う。

「だから、最初からそう言ってるじゃん」
「アハハ、信じる方が難しいって」
「それより……早く部屋に移動したほうが良くない?」

 気が付くと私たちに見えにくい場所から後続のカップルがこちらの様子を窺っている。
 早くしろよ……そんな空気が伝わってくる。

「う……そうだね。移動しよう」
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