ちぇんじ☆
 しかし、長くツライ修行のような長話もついに終わりを迎えることとなった。

――本当に長かった……。

 カズちゃんの家の祖先の話に始まり、カズちゃんの代に至るまでの苦労話。
 古くは陰陽師の話やら、江戸時代には暗殺業をしていたとか、
 明治時代に妖怪退治で人財産を築いたとか、
 果てはお祖父ちゃんとお祖母ちゃんのラブロマンス……さすがにこの話になった時には拳を振り上げて先に話を進めるように促してしまった。

――ついに、やっと、ようやく話は現代に。

 カズちゃんのお父さんが現在の歳平家の当主。
 そのお父さんとお母さんの間に生まれたのが二人の男の子。
 これまで歳平家には霊能力を受け継ぐ子は一人ずつしか生まれてこなかったのだそうだ。
 そして、霊能力を持つ子供はカズちゃんのような――銀色の瞳を持って生まれてくる。
 霊能力を子供に受け継ぐと銀色の瞳はお祖父ちゃんのような色素の薄い色の瞳に変わり霊能力の伝承は完了する。

 だが、カズちゃんの代で異変が起こってしまった。
 長男として生まれてきたカズちゃん、歴代の霊能力者と同様に銀色の瞳を持って生まれてきた。
 しかし、片目だけ――右目だけが銀色の瞳だったのだ。
 それまでの当主たちは全て両目が銀色の瞳で生まれたのに、である。

 何が起こってそうなってしまったのかは未だに分かっていない。
 だが、片目だけが銀色の瞳で生まれたカズちゃんに続き、
 またも――次は左目だけが銀色の瞳の子――直哉くんが生まれた。
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