ちぇんじ☆
 かくして、歳平家には二人の霊能力者が生まれてしまった。

 ここまでは何も特に問題は無かった。
 お話などによく出てくる『二人の霊能力者が生まれれば家が滅びる』だの『どちらか一人の子を殺さないと不幸が訪れる』といった掟のようなものも幸い存在せず、
霊能力者としての当主はこの二人が成長してから決定すれば良い。
そういった話に落ち着いていたはずだったのだ。

 しかし、ここで問題が発覚した。

 今までと違う、片目だけが霊力を秘めた霊能力者――霊力が制御できなかったのだ。
 特に弟の直哉くん。
 霊力が半端なく大きいもので、しかも歳が幼いためコントロールする術を知らない。
 直哉くんが一歳になる頃には四六時中悪霊が直哉くんの周囲をたむろするようになった。

 その悪霊の影響によって直哉くんは病気がちになり家に閉じこもっての療養を余儀なくされていたのだ。

 そして、今年の春の出来事だった――。

 ついに、直哉くんの命さえ危ない状況に陥ってしまった。
 悪霊の影響で霊力をコントロールする術を教える事すらできない。
 それなのに、年齢を重ねる毎に直哉くんの霊力は大きくなり、徐々に強力な悪霊を引き寄せてしまっていたそうだ。
 直哉くんへの霊障はひどくなっていく一方。
 周囲の大人たちも指を咥えて見ているしかできないような状態になってしまった。

 ここで、カズちゃんは決心した。

――弟を、直哉くんを自分が救おうと。
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