ちぇんじ☆
「う……ん……」

 今までのこと思い返していると、胸の辺りから声が聞こえた。
 隼人くんの声だ。
 その声を聞いて、私もなんとか声をかけてみようと試みる。
 踏ん張ればなんとか喉に力が入りそうな感じだ――。

「は……やと……くん?」

 振り絞るような声がなんとか出た。
 首も少しだけ動くようになっていたようだ。
 少しだけ首を持ち上げ、胸の辺りにある隼人くんの顔を覗き込む。

 隼人くんもまだ上手く体に力が入らないのだろう。
 ゆっくりと首だけを持ち上げる。

 正面を向いた隼人くんと視線が合った。
 お互いに上手く力が入らない体で表情を作る。
 口元が少し緩み、目じりが少しだけ下がる。
 お互いに現在できる精一杯の笑顔を作った。

「戻っ……た?」

 少しずつ動くようになってきた口を動かし、『元に戻る方法』の成否を尋ねる。

「なんとか……か……な?」

 隼人くんのその返事を受けたとき、私の体の感覚が少しずつ戻ってきたのだろう。
 下腹部の辺り、つまり――隼人くんの『アレ』が入ったままの膣にピリっという痛みが走った。
 まるでその部分を中心に体が縦に引き裂かれるんじゃないか……そんな痛み。

 いきなり襲ってきた苦痛に私の顔が歪む。

「あ……! ゴメ……ン! すぐに抜く……から」

 隼人くんは体を動かして私の中から自分の『モノ』を引き抜こうとする。
 ……が、上手く力が入らないのだろう。なかなか引き抜くことが出来ない様子だ。

「――いい……よ。隼人くん。しばらく……このままでも」

 耐えれないような痛みではある。
 でも――もう少しこの痛みを味わっていても構わない。そんな気持ちだった。
 それから一分も経ったころだろうか。
 お互いに動けないまでも話すには不自由しないくらいになってきた頃。
 隼人くんが私に語りかけてきた。
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