ちぇんじ☆
「こんな状態で……その……順番はかなり狂ってるとは思うけど――」

 隼人くんが前置きをする。
 そんな隼人くんに向かい小さく頷き話の続きを促す。

「始めまして。そして――真里ちゃん、俺は……君のことが……好きです」

 突然の隼人くんの告白。
 でも――それはあらかじめ知っていたような気持ちに襲われる。

「私も――私もあなたのこと……好きだよ」

 素直な気持ちを隼人くんに伝える。
 その言葉を隼人くんに向けて言った瞬間――私の目から涙がこぼれてきた。
 手はまだうごかせない、そのため涙は抵抗もないまま私の頬を伝って流れていく。

――あれ?何でだろ?こんなに……こんなに嬉しいのに。

 でも、その涙に理由はすぐに分かった。
 隼人くんの顔を見ると――彼も涙を流していた。

「どうしたの……?」

 涙を流す隼人くんに尋ねる。

「いや……分からないけど……涙が。あれ? おかしいな……止まらない――」

 自分も涙を止められないまま、隼人くんの泣き顔をじっと見つめる。
 彼の表情はなんというか――嬉しさと悲しさ、そして悔しさが入り混じっているように見えた。

 その悲しみと悔しさに思いを巡らした時――私の中で『涙の理由』が見つかった。

――私が、『もう一人の私』が消えたのだ。私の中からも、そして――隼人くんの中からも。
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