ちぇんじ☆
 バスから降りてきたのは確かに私、正確に言うならば『中道 隼人』くんが中に入っているはずの私。

 眼鏡をかけて三つ編みして制服着て……って、アレ?

――少し違和感を感じる。

 私って、入れ替わってるんだよね?
 今、私の中にいるのは入れ替わった『中道 隼人』くんじゃないの?
 男の子って……自分の髪の毛を三つ編みにできるものなの?
 偏見かもしれないけど自分の髪を綺麗に三つ編みにできるものなのだろうか?

 ともかく、私が自分に気が付いたんだから向こうも自分の姿に気が付くのも時間の問題のはず。
 お互い何が何だか分からない状態なんだから向こうも私と一緒で心細く思ってるはず……。
 もっと言えばお互いに頼りにできるのはお互いのみなはずだ。
 なんといっても同じ境遇にいるはずなんだから。

 とりあえず……手を振ってみる。
 自分に向かって手を振るって、ヘンな感じだ。
 一瞬コッチを見たような気がするけど……華麗にスルーされた。

――アレ?見えなかったのかな?

 大きく手を振ってみる。
 またチラっとこっちを見たような気がするんだけど……明らかにスルー。

 あれ?なんで?
 今、私の中にいるのって『中道 隼人』くんだよね?
 私と入れ替わっちゃって内心不安でたまらないはずだよね?

――なのに……どうして何の反応もしないわけ?

 私をスルーした私(中身は多分『中道 隼人』くん)はこちらに構わずに電車に乗ろうと改札に向かってる。

 おかしい、私の中でどんどん違和感が膨らんでいく。
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