バトンクッキー
加瀬は3塁にランナーを背負ったとき、ワインドアップと同じ大きなモーションで投げるクセがあり、ホームスチールは無理でもどこかに転がせばホームインは可能という計算を三浦は弾き出した。
ただし、紅白戦形式で投げたのを見ただけで、本番で100パーセント成功するとはかぎらないと付け加えた。
その作戦を言う三浦の手にはストップウオッチ。
メモしているノートには細かく数字が記入されていた。
試合前の数日間はランエンドヒットの練習に時間を費やしてきた。
水原に加瀬の役目をさせ、実践練習を重ねた結果と、柳沢の集中力が相手を勝ったから成功したのだろう。