バトンクッキー


 おれが手を上げ、緊急事態のタイムをかけようとすると、水原は「躓いただけです」と白い歯を見せる。


「大丈夫か?」

 ゴリも心配そうに尋ねると、水原は「すいません」と、笑顔を振り撒く。


 無理をしているのは誰の目にも明白。


 水原の疲れは下半身にまで達している。


 それでもおれは「イケるか?」と非情なことを訊かなければいけない。


 かえってくる返事がわかっているのに……。


「まだイケます!」

< 316 / 366 >

この作品をシェア

pagetop