愛の雫
何だろう……


胸の奥がチクチクする。


気持ち悪いくらいに疼く胸をスッキリさせたくて、息を小さく吐いてみたけど…


チクチクとした心地悪い痛みは、ちっとも治まらない。


「希咲?」


足元に視線を遣っていると、絵里香があたしの顔を覗き込んだ。


「へっ?」


「何ボーッとしてるの?」


「あっ、ごめん……。何でもない」


怪訝な表情をしている絵里香に謝ると、彼女は不思議そうな顔で続けた。


「あたし、帰るね?」


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