愛の雫
コートのポケットから、おもむろに携帯を取り出す。


自分でデコった携帯は手触りは良くないけど、すごく可愛いから気に入っている。


ジャラジャラと鳴りながら揺れるストラップを横目に、手早く発信ボタンを押してから携帯を耳に当てた。


「もしも〜し?」


すぐに電話に出た相手が、テンションの高い声で言った。


「あっ、あたし!」


「うん、どうしたの?」


必要以上に明るく答えたあたしに、電話の向こうにいる相手が不思議そうな声で訊いた。


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