愛の雫
電話の相手は、親友の松村早苗(マツムラサナエ)。


あたしが家に帰りたくない理由を知っている、唯一の友達。


「希咲(キサキ)?ねぇ、聞いてるの?」


ちょっとハスキーな声で、あたしに問い掛ける。


その声がカッコイイ。


「聞いてるよ〜。ねぇ、今日泊まりに行ってもイイ?」


あたしは、いつものように明るく訊いた。


だけど…


「あ〜、ごめん……。今日はちょっと……」


早苗は、申し訳なさそうにため息をついた。


< 6 / 830 >

この作品をシェア

pagetop