愛の雫
真っ青な顔をしている陽子さんが、すぐにあたしを見付けた。


「……っ!希咲ちゃん……」


整わない呼吸の合間で呟いた陽子さんが近付いて来たかと思うと、あたしの体をギュッと抱き締めた。


え……?


それはあまりにも突然だったから、一瞬何が起こったのかよくわからなかった。


程なくしてやっと自分の置かれている状況を理解した時、あたしは目を大きく見開いた。


だけど…


その後も、あたしの体を抱き締めている陽子さんにされるがままで、何も言えなかった。


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