愛の雫
ナースステーションでさっきの看護師にパパの事を伝えると、手術室の前に案内された。


看護師が立ち去った後、手術室の前の長椅子に三人で並んで座っていたけど、あたし達の間に会話は無かった。


静かに流れる時間が、嫌なくらいに緊迫感を運んで来る。


それでも、あたしの左隣にいる凪兄が手を握ってくれているお陰で、抱えていた大きな不安が少しだけ和らいでいった。


今になって、この温もりに何度も救われて来た事を知った気がして…


あたしは、改めて凪兄の存在の大きさを感じた。


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