愛の雫
『走った』


その単語を聞いた時、心臓がドクンと跳ね上がった。


同時に頭の中を過ぎったのは、バイト先の控室に飛び込んで来た陽子さんの姿。


あの時の陽子さんは息を切らし、苦しそうに顔を歪めていた。


お腹を抱えてうずくまったのは、その直後…。


あの光景を見た時から、自分のせいかもしれないとは感じていたけど…


梶原さんの話を聞いた時に、それが確信に変わった。


そして、驚きと一緒に込み上げて来たのは、何とも言えない複雑な感情だったんだ…。


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