愛の雫
「どうして……?危険だってわかってたのに……」


小さく漏らした言葉が、真っ白な病室にそっと消えた。


陽子さんに対して、こんな風に自分の気持ちを零したのは初めてだった。


「夢中だったの……」


返って来た声は弱々しいのに、その言葉の中には力強さが込められている。


「頭では安静にしてなくちゃいけないってわかってたのに、『希咲ちゃんに何かあったら……』って思ったら、無意識のうちに走ってた……」


陽子さんはそこまで話して、ゆっくりと息を吐いた。


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