愛の雫
そっか……


『でもそれって、希咲に言った訳じゃないよね?』


早苗の言葉の意味をやっと理解する事が出来て、まるで絡まっていた糸が綺麗に解けていくように、頭の中がスッキリとしていった。


『俺、彼女がいるんだ』


あの時、凪兄は絵里香に向かってそう言っていたけど、自分(アタシ)に対しての言葉じゃなかった。


混乱してしまったあたしは、凪兄の話を完全に信じ込んでいたし…


あの日からしばらくの間は彼の事を避けていたから、真意を確かめたりもしなかった。


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