主従関係

【私の婚約者】と言う単語にピクリと敏感に反応した。



まるで花蓮は自分の物だと言われているようで再び悔しさが滲み出た。



「近々、結婚披露宴の招待状を送りますので是非、参列してください。」



この男の妙に張り付いた笑顔がカンに障った。



イライラとした気持ちは抑えられずに和也さんを睨みつけていた。



「そうですか。おめでとうございます。」



ぶっきらぼうに祝辞を述べると用があると言ってその場を離れようとしたら



「もしかして花蓮の事好きだったんですか？」



不意に背中越しに言われた。



「………………。」


相手の真意が分からず、押し黙っていた。



「クスクス。直人様でも人の気持ちは手に入らないみたいですね。」


カッと頭に血が上る。


「何が言いたいんですか？」


「いえ。少々、言葉が過ぎたようです。お忘れ下さい。」



「ふんっ。」



ドスドス。と怒りを隠すことも出来ずに足音を踏み鳴らし屋敷へと帰った。





何なんだよっ！！


どいつもこいつも馬鹿にしやがってっ！！



二人で俺の事、からかってたのかよっ！！