フレアップ!!上巻



目的地につくと、予想通りに風が吹き込み、俺の前髪をオールバックにしてしまった。


よく見ると、こんな冷え込む場所なのに、誰かが俺より早く居場所を確保していた。


そいつは残り少ない落ち葉をくるくるとひねり、三角座りで小さくまとまっている。



その人が長い髪を耳にかけると、苅谷の懐かしい顔が覗けた。


懐かしい姿に思わず口元が緩む。


だけど苅谷の顔には笑顔はなく、俺の存在にはなかなか気付かない。
< 207 / 232 >

この作品をシェア

pagetop