美人薄命


気付けばマンションの前。


「お茶でも…。」

おずおずと声を掛ける。


「いいよ、気使わなくて。」


「そう。それじゃ送ってくれてありがとう。」


「じゃ。」


春人くんが帰っていくのを見送り、私もマンションへ入った。



部屋に戻り、お風呂に入っても、いつものようにコーヒーを飲んでスプートニクを見つめても。

なぜだか春人くんのあの笑顔が頭から離れなかった。


いつも無愛想のくせにあんな風に優しい笑顔も出来るんだ。
失礼な人だと思ったけど本当は優しいのかもしれない。今日だって何も言わずに送ってくれたし。


「髭男のくせに。ふふっ。」


小さな発見をして嬉しい気持ちで眠りについた。





< 88 / 203 >

この作品をシェア

pagetop