側にいる誰かへ
次の日、俺は学校に向かっていた。

…………。

気分が乗らねぇ。

俺はまだ徹の事を整理できていなかった。

これから、徹の死とどう向き合うのか?

自分が何をすれば良いのか?

こんな気持ちで俺にどうしろと。

ふと店のガラスに映った自分の姿をみる。

黒髪の自分。

ひでぇ。

気分も格好も最悪だ。

でも彼女と約束。
仕方ない…。


時間はもう昼休み。

俺は教室の扉をゆっくりと開く。

そこには、昼飯をいつものように友人どおしで食べているクラスメート。

教室でふざけあっているクラスメート。

ほらな…。

その光景は俺が想像したとおりのものだった。

俺は徹の席に目をやる。

そこには、花瓶に真新しい花が一輪さしてあった。

俺はそれを見て泣きそうになる。

クラスの何人かが教室に入ってきた俺を見る。

俺はそいつらの視線を感じながらも、出てきそうな涙を拭い、席についた。

俺の席は一番後ろの窓側。

担任が不良の俺に与えた唯一の指定席。

俺は窓に目をやる。

ここから見える景色もいつもと何も変わらない。

ふいに雅樹の事を思いだす。

雅樹どうしてるかな…。

あいつは隣のクラス。

会いに行こうかな。

ぐぅ−。

俺の腹の音がなる。

そういや、朝から何も食べてなかったけ。

まあ良い。

少し疲れた。
眠ろう…。

クラスの連中の楽しそうな話し声の中、俺は一人まぶたを閉じた。


浅い眠りの中、

いつもの授業といつものホ−ムルーム。

俺にはいつもと同じ事がどうしても許せ無かった。



もうじき文化祭が始まる。

俺達のクラスは教室に残って出し物の話し合いをしていた。


俺は話を聞く気もなく、窓の外ばかり見ていた。

それでも教室に残っていたのは、俺の所に徹や雅樹が来てくれるような気がしていたからかもしれない。

俺は窓の外を見ながら思う。
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