側にいる誰かへ

7.始まる日々

俺は昔の夢を見ていた…。

幼い俺。

学校の奴らが転校生をイジメていた。

転校生は髪を大柄な男からつかまれている。

俺はその手を払い、転校生の前に立つ。

「止めろ。」

俺の前に、大柄の男が立ち塞がる。

そいつは、俺の腹を勢いよく蹴り飛ばす。

ぶっ。

俺は勢いよく後ろに吹き飛ぶ。

男は俺を見て笑うとイジメの続きを彼にしようとした。

「止めろ−。」

俺はその男の顔を右拳で殴る。

男の口から血が流れる。

「こいつマジか。顔だぞ。」

俺はさらにその男を睨む。

男とその仲間達はその場から急ぎ足で逃げていった。

そうか。

これは、俺が初めて人を殴った時の記憶。

何で長い間忘れていたんだろう。

初めは友人を助けるためにこの拳を使ったんだ。

転校生が泣きながら、俺に話しかける。

「富塚君ありがとう。でもどうして。君もイジメられるよ。」

「そんときはこの拳を使うだけさ。」

俺は転校生に右拳を握ってみせる。

「僕も強くなりたいな。」

転校生は俯く。

「大丈夫。君も強くなれるよ。」

「本当?じゃあ今日から特訓してよ。」

「いいよ。」

「やった−。あっ…。」

「どうした?」

「でもさ。やっぱり暴力は良くないよ。」

彼は不安げに言う。

「う−ん。そうだな。なら俺は強い奴しか殴らない。弱い人を助けるためにこの拳を使うよ。」

俺は右手をあげてみせる。

「なんか正義の見方みたいだね。」

「だろ。俺達が目指すのは正義の味方だ。」

俺達はここから友達になった。

「俺の名前は、富塚。富塚聡志。君は。」

「僕は徹。上原徹。」

そうか…。

俺はずいぶん前に徹と約束していたんだな。

弱い人を助けるって。

きっとこの約束がなかったら、俺は彼女を守れなかった。

徹。

一瞬でも俺は正義の味方になれたかな。

夢の中の俺が呟く。

もう目覚めないと。

俺の意思と同調して、夢の世界が壊れていく。

徹。

夢でもお前と会えて嬉しかったよ。
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