それでも君と、はじめての恋を


想像していると、カーディガンのポケットから微振動が伝わる。


メール!


「ああ見れないっ」


両手が塞がっていて、携帯を取りたくても取れない状況がもどかしい。


モモからだったらどうしよう! 返信だったら早く読みたい!


あたしは急いで外廊下を突っ切って、教室まで走って行った。



「……あれ?」


教室に入る前に廊下で足が止まってしまう。窓からいつも見える、葵と純の姿がなかった。


「あ、渉ー」


教室に入ると、かたまって話していたクラスメイトのひとりに名前を呼ばれた。


「何かね、純と葵ベランダから出てったよ?」

「は? 何で?」

「渉が戻ってきたら伝えといてーって。純が」


一旦買ったものを机に置いて、先程受信したメールを見る。モモからだと思っていたメールは、純からだった。



“1組にいるから、早くやきそばパン持ってきてね☆\(^3^)/”



持ってきてね☆じゃ、ねえよ!! 顔文字やたら腹立つ!
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