それでも君と、はじめての恋を
「うわっ! …って何だぁ、渉じゃ~ん。どこの鬼かと思った」
「遅い」
1組のベランダから教室の中を見ていたあたしに、純と葵が多分そんな感じのことを言った。
窓に背を向けていた状態のモモは振り返って、何でか目が合うのが怖くて曇る窓越しに純を睨んだ。
「あっはは! 多分怒ってるよねぇ。曇っててよく分かんないけどぉ」
シバく! あとで絶対シバく!
開けてと意味を込めて窓を叩くと、窓際に座るモモが開けてくれる。カラカラと硬質な音と共に、モモの顔がハッキリと輪郭を現した。
「ありがと……」
「ん」と言って、あたしが腕に抱えていた昼ごはんを取ってくれるモモ。
メールは、見てないのかな。
「あ。コラ渉~。ダメでしょ女の子が」
「は? 何を今更……」
窓から教室に入ろうとした瞬間、モモが背を向けたことに気付いて顔に熱が集まるのが分かった。
あたしのバカぁぁああああ!!