それでも君と、はじめての恋を
余裕なんていつもない。いつも、いつも、目の前のモモに夢中で。
あたしは特別可愛いわけでも美人なわけでもないから、少しでも自分をよく見せたくて。
なのに失敗ばっかりで、恥ずかしいところばっかり見られて。
ああすれば良かった、こうすれば良かったって、後悔ばっかりで。
それでもやっぱり、どうしても好きで。
「あたしの初恋は、桃井寶なのっ!」
ハァッと肩で息をすると、「ヒュウッ」と聞き慣れない口笛が耳に届いた。
「ちょっとちょっとぉ~。そんな面白い演説すんなら、購買行かなかったのにぃ~」
振り向くと、純が廊下に立って窓から顔を出していた。
「まあ、そういうことだから?」
葵がクラスメイトに言うと、あたしの背中をポンと叩く。
「桃井、教室にいたよぉ~?」
純がそう言いながら、1組の方角を指差す。
……ふたりの“頑張れ”、ちゃんと届いた。
「行ってきな」
「行け渉ぅ~!って、えぇ!? ベランダから!?」
走れ、走れ。
もっと、もっと。
大股開いて、がむしゃらに腕を振って、一気に距離を縮めて。
今、君に、このはやる想いを――…。