それでも君と、はじめての恋を


無意識に取り出していた鏡で口を隠して、遠慮なしにモモの横顔を見つめた。


あたしから見えるのは茶色い短髪だけだから、なんだかちょっと新鮮。


別の人みたいだけど、モモなんだよなぁ……。



『モモモモ、モモッ!! 同じクラスっ!!』


春休みの登校日にクラス分けの紙が渡されて、あたしはホームルームが終わると同時に紙を握り締めたまま1組へ猛ダッシュした。


1組と7組。


端と端のクラスだったのに、2年生では同じクラスだなんて。信じられなくて、でもどうしようもなく嬉しくて。


大興奮して現れたあたしに、モモは一緒に喜んでくれるわけでも、驚いた表情を向けてくるわけでもなかった。


『知ってる』


そう言って、笑ってくれたんだ。


思い出しただけで、湯気が出そうなくらい顔も体も熱くなる。


体の奥底から湧き上がる、喜びと嬉しさと、幸せ。


モモの髪色みたいに、あたしを包む空気はピンク一色だと思う。
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