それでも君と、はじめての恋を


「あの、昨日のお詫びです! 昨日は本当にごめんなさいっ! 何が好きか分からなかったから買いすぎちゃったんだけ、ど……」


早口で話す自分が少し恥ずかしくなって、反応がない桃井くんに不安が募る。


「や、あの……ごめんなさい。こんなにもらっても、逆に困りますよね」


あたしがコンビニで買い占めたお菓子や飲み物を見つめる桃井くんは、普段通りの無表情。


どうしよう! ていうかコンビニの品とか今更だけどマズかった!?


パニックになりかけたあたしの目に、桃井くんの手が動いたのが見えた。


殴られるのかと体が硬直しかけたけど桃井くんの手は袋の中に向かって、すぐにコーラが取り出された。


――え……。あれ?


「これでいい」


これでって……え? 本当にそんな飲み物1本でいいの? 暴君とも呼ばれるアナタが?


う、嘘だぁ……。


ジッと疑いの眼差しを向けてみたけれど、桃井くんは何の反応も見せなければ、殴ってくる気配もない。


あたしを見ようともしないその鉄仮面と雰囲気は怖いけど。


怒ってない? 怒らない? ほんとに……?
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