それでも君と、はじめての恋を


「……お、お菓子は?」


恐る恐る言葉を口にしながら、袋に手を伸ばす。


「お菓子とか、甘いの苦手なら、ガムもあるんだけど……」


――やばい。
なんでか、嬉しい。


袋の中から次々とお菓子を出すと、桃井くんはまた少し驚いた顔をした。


……なんか、桃井くんて噂ほど怖くない? あたしがビビりすぎ?


他に、どんな表情をするんだろう。


「……桃井くん、嫌いな食べ物ある?」

「……別に」


ほら。素っ気ないけど、ちゃんと受け答えもする。


それだけで悪い人じゃないと判断するには足りないかもしれない。


目付きだって最高に悪いし、雰囲気だって柔らかくもなければ優しい笑顔を向けられたわけでもない。


でもダメだ。

好奇心が、後から後から湧き上がる。


「じゃあやっぱりコレ、全部あげる。桃井くんにあげようと思って買ってきたやつだから」


出した物を袋に戻していると、桃井くんの視線を感じた。見ると、目を逸らされてしまったけれど。
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