それでも君と、はじめての恋を


他の人から見たらあたし達はカップルに見えるのかな。

手は繋いでいないけど、話してるだけでも付き合っているように見えたら嬉しいな。


モモを見てるだけで胸が温かくなって、徐々にドキドキしてくる。同時に真綿で胸の奥が締め付けられるような、優しい痛みも感じた。


……写メ撮っとけばよかったな。

今日見たモモの仕草や表情、何かひとつでも残しておくんだった。


「……」

気付けばあたしは携帯を手に、未だ向かいのホームを見てるモモにカメラの焦点を合わせていた。

ピロリン、という間抜けなシャッター音に数秒遅れて反応したモモは、自分に向けられている携帯の存在に気付く。


「へへ」

「……」


笑って誤魔化すとモモは特別何かを言うわけでもなくあたしの携帯を覗いて、ただ少し気恥しそうに。

「閉じて」

と、無理やり二つ折りの携帯に戻した。


『白線の内側までお下がりください』


そんなアナウンスと電車の近付く音を聞きながら、ホームを流れる風に前髪がふわりとなびく。


……家に帰っておにぃと佐野くんがいたら、携帯片手に興奮気味に話してしまうかもしれない。


しょーもないって言われるかもしれないけど、それでも話したくて聞いてほしいと思うのは、今日が凄く楽しかったから。


「林間学校も楽しいといいね」


到着した電車から降りて来る人を見てからモモを見上げると、先に弧を描いた口元が目に入った。


「だね」


柔く微笑むモモに笑い返して、ふたり一緒に電車へ乗り込む。



2泊3日の林間学校は、どんな時間を過ごせるんだろう。どんなモモが見られるんだろう。


楽しすぎて、あたしは携帯のフォルダもデジカメのデータ容量も、1日目で一杯にしてしまうかもしれない。


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