それでも君と、はじめての恋を
「モモって心配性?」
「……別に」
あ、久々に『別に』って聞いた。
ていうか今更気付いたけど、モモって案外“触れる”ことに対してためらいがない。
手を繋ぐことにはまるで試練を突き付けられたかのような顔をするくせに、さっきは全く躊躇がなかった。
……あの時もそうだった、よね。
胸がキュンとしないのかと聞いた時も、あたしの首から肩のラインをいとも簡単に指でなぞった。
意識してないってことなんだろうけど、変なの。
カップルがするようなことはダメで、それ以外なら平気かもしれないなんて。
……いや、触れるたびにいちいち意識されたらあたしも恥ずかしいけどさ。
チラリと窺うように隣を見れば、モモの顔はピンク色の前髪に隠れて見えない。
「――……」
探究心というよりも好奇心が芽生えたあたしは、テーブルの上にあった缶ジュースに手を伸ばした。
軽く上下に4回振ったのは、炭酸ジュースが噴きこぼれたらいいなと思って。
「――っ」
ブシュッ!と中途半端に立ち上げられたプルタブの隙間から泡が吹き出して、少量ながらも地味に顔へ飛んできた。
その間にもダラダラと缶と手を伝い落ちるジュースをモモが見ていたのは言うまでもなく。
「あは。炭酸だと思わなかった……」
知ってたけど、予想以上に溢れ出てきたよね!
苦笑交じりに下手な言い訳をしながら顔に付いた水滴を拭えば、モモはテーブルの上を見渡して布巾を手に取った。
「……何してんの」
「……」
モモはまだ頬に付いてたらしい水滴を指で拭ってくれたあと、あたしから缶ジュースを取り上げて汚れた手を布巾で拭いてくれる。
その手際の良さと言ったら、文句の付けようがなかった。