それでも君と、はじめての恋を
「……」
「やっぱりいい……!」
は?と言いたげな顔をしたモモは本当に意味が分からないだろうけど、モモに頑張らせてはいけないことを思い出しただけなんて言えない。
「何でもないデス」
耳を塞いでいた両手を今度は顔に移動させて、完全に視界を遮断させた。
――ああ、またやっちゃった。何であたしっていつもこうなるんだろう……。
とりあえず落ち着こうと思って顔を隠しちゃったけど、きっとモモは困惑してるに違いない。
あたしにまくし立てられただけでも充分困ったはずなのに、何か言おうとした途端やっぱりいいなんて遮って、自分勝手もはなはだしい。
「何してんの」
「……反省してるの」
「反省?」と繰り返したモモに恐る恐る手の壁を崩すと、鋭い瞳と目が合った。
「……モモのこと困らせた、から……」
「……」
「気をつけようって思ってるんだけど、つい勢いで……」
言葉を探しながら視線は落ちていって、このままじゃいつかモモに嫌われてしまうかもと急に不安になる。
困らせたいわけでも、言いたくないことを言わせたいわけじゃない。
だけどモモは照れ屋なだけだってことを知ってるから、聞き出したいっていう気持ちの方がいつも勝っちゃうんだ。
加減もできなければ、ブレーキさえきかない。
あたしって本当にダメな彼女かもしれない……!
自分の思考に自分でショックを受けていると、モモが小さく咳払いをしてあたしの視線を誘導する。
「怒ってはないから」
「……」
「ほんとに」
だから謝らなくていい、なんて言葉の続きを勝手に想像してしまった。