それでも君と、はじめての恋を
「ピアスのこと……?」
「うん」
「……」
振り返らずに言ったモモにぎゅうと胸の奥底が締め付けられて、あたしって本当にどうしようもないなと思う。
反省してたのに、いざ言ってもらえるとやっぱり嬉しくて。
顔を合わせず嬉しいと言ったモモは恥ずかしいんだと、それでも頑張ってくれたんだと、分かってるからこそ幸せで。
何度も何度も好きだと思わせられる。溢れて零れる好きという感情が、体を芯から溶かしてしまう。
ゆっくりとこちらへ視線を向けたモモの瞳は、すぐに驚きで少し見開かれていた。
赤い顔を隠すように口を手の甲で覆う、言葉さえ失ったあたしが映ったから。
「あ、う、えっと……あの……」
「……」
「コレはその……モモのせいで……」
「……俺?」
「ああ違う! いや、違くはないんだけど……!」
あぁもう、あたしホントに何やってるんだろう。
モモが見てる。
何か言わなきゃと言葉を探せば探すほど顔に熱が集まって、整理できない頭の中はこんがらがった。
「えっと……あの、あたしさっき、モモが何か言おうとしたの遮ったでしょ」
「……? うん」
「それ、モモに頑張らせちゃいけないと思ったからで……」
「……」
「あたしがもたないっていうか、逆に対応に困るっていうか……モモが素直になると思いのほか攻撃力が高くて……」
あぁぁああ眉間にシワ寄ってる……!
「嬉しいって言ってよってあたしが言ったんだけど、いざ言われるとダメなの! だから気を付ける……ってゴメン、自分でも何言ってるのか分かんないから気にしないで……!」
本当にバカ。
意味分かんないよね。
途中で放り投げてしまったあたしとは違い、モモは暫く考える素振りを見せてから口を開いた。