それでも君と、はじめての恋を


「ピアスのこと……?」

「うん」

「……」


振り返らずに言ったモモにぎゅうと胸の奥底が締め付けられて、あたしって本当にどうしようもないなと思う。


反省してたのに、いざ言ってもらえるとやっぱり嬉しくて。


顔を合わせず嬉しいと言ったモモは恥ずかしいんだと、それでも頑張ってくれたんだと、分かってるからこそ幸せで。


何度も何度も好きだと思わせられる。溢れて零れる好きという感情が、体を芯から溶かしてしまう。


ゆっくりとこちらへ視線を向けたモモの瞳は、すぐに驚きで少し見開かれていた。


赤い顔を隠すように口を手の甲で覆う、言葉さえ失ったあたしが映ったから。



「あ、う、えっと……あの……」

「……」

「コレはその……モモのせいで……」

「……俺?」

「ああ違う! いや、違くはないんだけど……!」


あぁもう、あたしホントに何やってるんだろう。


モモが見てる。


何か言わなきゃと言葉を探せば探すほど顔に熱が集まって、整理できない頭の中はこんがらがった。


「えっと……あの、あたしさっき、モモが何か言おうとしたの遮ったでしょ」

「……? うん」

「それ、モモに頑張らせちゃいけないと思ったからで……」

「……」

「あたしがもたないっていうか、逆に対応に困るっていうか……モモが素直になると思いのほか攻撃力が高くて……」


あぁぁああ眉間にシワ寄ってる……!


「嬉しいって言ってよってあたしが言ったんだけど、いざ言われるとダメなの! だから気を付ける……ってゴメン、自分でも何言ってるのか分かんないから気にしないで……!」


本当にバカ。
意味分かんないよね。


途中で放り投げてしまったあたしとは違い、モモは暫く考える素振りを見せてから口を開いた。
< 316 / 490 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop