それでも君と、はじめての恋を


「あははっ! コレね! もうほんと、あたしバカで!」


ぐしゃっとプリントを両手で丸めたって、もう手遅れなのは十分分かってるから何も言わないで欲しい。


何であたしって、桃井くんに恥ずかしいとこばっか見せてるんだろう……。


「も、桃井くんは頭いいんだよね。羨ましい」

「別に、普通」


嘘だー……。わざわざ呼び出されて、期待してるぞって頭いい人しか言われないでしょ。


「矢吹は、留年の危機なんでしょ」


真顔で言った桃井くんに、ドッと冷や汗が出る。


聞かれてたことも恥ずかしいけど、真顔で言われたからこそ留年の危機を感じて。


「あー……いや、まぁ、なんとか乗り切るよ」


多分。必死になれば大丈夫。一夜漬けとか、ふざけたことしなければ大丈夫。だと、思う……。


考えれば考えるほど落ち込んで、不安になってきた。


いやもう、あたし本当にバカで……見た目を裏切らない頭の悪さだとよく言われててすいません。


「……分かる範囲でいいなら」

「え?」


いつの間にか俯いてた顔を上げると、桃井くんがあたしを見下ろしていた。
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