お前じゃない
 ポッコリ殿と坂上は、食べる手を止め、みんなの話しをつまらなそうな顔で聞き、二宮は平然と食べ終わり、口を拭いている。

 食事も終わり、キッチンには社長が後片付けに行き、後から久美子が手伝いに行った。

 残りの五人は、それぞれに話しを始めた。


「この別荘に呼ばれたからには、俺にも出世のチャンスが巡ってきたって事だよな? なっ?」


 坂上が、ニヤけた顔でだいちゃんの肩を叩きながら言った。


「坂上って、出世の事で頭一杯なんだなぁ。ハル見てみろよ、いつの間にか、冷蔵庫からヨーグルト持ってきて食ってるよ。出世なんかまるで考えてないな」


 だいちゃんがハルを見ながら笑みを浮かべていた。


「出世考えてなくても、ハルなら出世するよ」


「そういう二宮も着々と出世してるんじゃないか? 俺より、ここへ招待された数が一度多いだろ?」


 二宮がハルの出世を断言すると、ポッコリ殿が視線を誰にも合わせず細かい事を言った。


「え〜っ二宮さんそうなんですか? ポッコリ殿と同期ですよね?」


 そこで、坂上がポッコリ殿に嫌味を言った。本人は嫌味のつもりではないだろうが、ポッコリ殿は明らかに不機嫌そうに顔をしかめている。
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