虹の都へ
ひと通り眺めた後で、マンションの前に男の人がいることに気づいた。

1度もカラーリングしたことがないような、サラサラの黒髪。

白人かと思うくらいに透き通った肌。

俳優のように整った顔立ち。

モデルのようなスラッとした長身。

あまりにもかっこよくて、思わず見とれてしまった。

誰かを待っているのかな?

そう思ったところで、あたしはハッと我に返った。

そうだ。

あたし、見とれてる場合じゃないじゃん。

待たせちゃってどうするのよ。

「あの」

あたしは男の人に声をかけた。

「はい?」

声優かと思うくらいのいい声に、ドキッと心臓が鳴った。
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