虹の都へ

オレンジティーとレモンティー

午前中だけの授業を終わらせると、あたしは『Water Lily』に向かった。

シフトは入ってないけど、用事があるからだ。

「ちょっと早かった、か?」

店の前に立って携帯電話で時間を確認した。

12時まで後10分ある。

これはちょっとどころじゃないな。

ふうっと息を吐いた時、
「高橋じゃん」

「うわあっ!」

突然声をかけられ、ビックリした。

「何だ、柊くんか…」

振り返って見たその姿に、ホッとあたしは胸をなで下ろした。

柊くんが立っていた。

「高橋、今日はシフト入ってないよな?」

柊くんは首を傾げて不思議そうな顔をした。
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